【課税価格決定の原則】2024年通関士試験 独学での勉強法

通関士

貨物を輸入する際には、輸入申告を税関に行います。何をどれだけ輸入するか、そしてその価格はいくらかをです。その価格の事を課税価格と言います。通常はインボイス(仕入書)を基に申告しますが、仕入書はメーカーや輸出者などが作成します。作成する人によって輸送費を含めた価格であったり含めていなかったりすると、まったく同じものでも課税価格が異なってしまいます。関税消費税は課税価格を基に計算されますので、ルールを決めておかないと不公平になりますよね。そのルールを課税価格の決定の原則といいます。

ここは、通関士試験において最重要といっても過言では無いぞ。選択問題や計算問題、申告書問題に関連する内容だ。これを理解してないと配点の高い申告書問題も全ての金額が間違えてしまうこともあるぞ。

課税価格決定の原則で決定できない場合の決定方法はこちら↓

基本的な考え方を覚えよう

加算費用とは仕入書価格に含まれていない場合は加算しなければならない費用のことです。逆に仕入書価格に含まれている場合にはそのままでいいです。

例外はありますが、基本的に輸入の課税価格はCIF価格です。つまり船や飛行機が日本の港や空港に到着(荷降ろし前)の価格です。なので日本までの運賃は課税価格に含まなければなりませんし、日本の港での荷降ろしから後の費用は含んではいけないのです。

ポイント 輸入貨物の課税価格は原則CIF価格。輸入港到着時の価格となる

加算費用、加算しなければならない費用

たくさんあるのですが、名称を覚えるのではなく、なぜ加算するのかの理由を覚えましょう。試験問題では、参考書に掲載されている名称ではなく、違ういい方をしてくることがあります。そんな時に必ず役に立ちます。

輸入港までの運賃等

輸入港までの運送に関する費用です。具体的には運賃や、発生した場合の保険料、保管料、コンテナの賃貸料、積み込み費などです。これらは輸入港到着までに発生する費用なので加算します。日本で販売されるときにはその価格に運賃は反映されていますよね。なので加算しましょう。

ただし、災害等運賃特例というものがあって、特殊な事情(天災の、戦争、港湾ストライキなど)の下に行われたことにより通常の運賃等を著しく超えることとなる場合には、通常必要とされる額のみが加算されます。著しくです。もう一度、著しくがポイントです。

買い手が負担する仲介手数料、販売手数料

これらの費用は、貨物を輸入するために買い手が負担する仲介業者等に支払う費用です。また輸入港到着までに発生する費用なので加算します。もし売り手が負担しているのであれば、常識的にその費用は仕入書価格にすでに反映されているものなので、加算すると必要以上に高くなる(二重加算)ので加算しません。

よく似たもので、買付手数料というものがありますが、これは加算してはいけません。理屈が難しいのですが買っといてと第三者に頼むことによって発生する費用は、はたして物の価格の一部になっていいのでしょうか?仲介手数料、販売手数料はぎりぎりセーフ、買付手数料はさすがにアウトといった感じで覚えましょう。買付手数料は加算しない。よく出ます。

容器の費用

貨物を輸入するために必要なものなので容器や包装・梱包の費用は加算しなければなりません。またその容器のための材料費や梱包するための人件費も加算します。ここも当然買い手が負担するものの話であり、売り手が負担する場合は仕入書価格に反映している事が多いので加算しません。

買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務の費用

輸入貨物の材料、部品や、輸入貨物を生産するための工具や金型、燃料代などが提供された場合は其の費用は加算します。本来輸入取引は海外で作られたものを輸入者が購入します。普通は上記の費用は売り手が負担しているので仕入書価格に反映します。ただ、例えば材料を買い手が負担(購入)して売り手に渡すとします。すると売り手は材料費がかからないので商品代金つまり仕入書価格はその分安くなりますよね。仕入書価格が安くなると関税消費税も安くなるので、それでは公平ではないですよね。だから買い手が負担するこのような費用は加算するのです。本来売り手が負担する費用を買い手が負担しているものが加算費用と考えれば迷ったときでも大丈夫です。

役務の費用とは、技術や設計などの費用で、本邦(日本のこと)以外で開発等されたものは加算しなければなりません。逆に本邦で開発等されたものは、加算しません。考え方ですが、例えば日本製の物を輸入する場合は元々日本の物なので関税を徴収する必要はないですよね。免税出来るんです。それと同じで日本で開発されたものは日本の物なので、加算する必要はないという考え方をしましょう。テストでは「外国人が日本で開発した費用は~」などの書き方がされていますが、国籍ではなく場所が日本か否かです。

特許権等使用の対価

特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接権並びに特別の技術による生産方式その他のロイヤルティ又はライセンス料の支払いの対象となる者の対価で、輸入取引をするために、買い手より直接又は間接的に支払われるものは加算します。わかりにくいですが、個々の権利の内容までは問われませんが、物を作るために権利者に払う必要がある場合は、それも品物の価値なので加算しなければならないということです。キャラクターグッツは権利者の許可があれば生産できます。ただお金を払っていますよね。その分当然品物代金は高くなるはずです。ですので当然に加算します。

本邦において複製する権利というものがありますが、これは本邦到着後に発生する費用と考えられるので加算しません。

売手帰属収益

日本での販売代金の何パーセントは売り手に還元されるなどの契約の場合は普通に考えるとその分仕入書価格は安く設定されているはずです、ですのでその金額が明らかな場合は、加算します。輸入後の費用に思いますが、輸入前に割引されているので相殺しなければなりません。

双方の関係で発生する費用

現実支払価格という考え方があります。例えば「売り手が買い手に借金をしているので、今回の貨物は50%引きにしますよ。その代わりその分借金から減らしてくださいね。」という契約はありえます。借金の返済に為に安くなった価格は本来の価格ではないですよね。なのでこのような値引きがあった場合は加算しなければなりません。現実に支払うべき価格が課税価格になるということを現実支払価格といいます。肩代わり弁済、債務の相殺などと表現されます。

控除費用、加算しない費用

次の費用で、その額が明らかなにすることができる場合は、課税価格に算入しない。

輸入申告の日以後に行われる行為の費用

具体的には、輸入申告後に発生する輸入貨物に関わる据付け、組み立て、整備又は技術指導に要する役務の費用などです。輸入貨物自体の価値からは外れていると考えれますので算入しません。仕入書価格に含まれている場合は控除します。仕入書価格に入っていない場合は考える必要はありません。

輸入港到着後の運送に要する費用

輸入港到着後に要する運賃や保険料、荷降ろし費用、保険料、保管料などです。CIF価格以降の費用なので仕入書価格に含まれている場合は控除します。船や飛行機が本邦の輸入港に到着した瞬間までがCIFと考えてください。それ以降に関わる費用は基本的に控除です。

本邦において課される関税その他の公課

輸入時に発生する関税、消費税、酒税などは輸入港に到着した時点の価格(価値)から付け加えられたものですよね。なので加算しません。

延払金利

要はローンを組んだ場合の金利です。これもモノの価値とは言えませんので控除します。

値引きの額

値引きされた額は、算入する必要はありません。「100円の物を1万個買ってくれたらで10個80円でいいよ」などの場合です。この場合、課税価格は80円で構いません。ただし値引きの理由が、「以前お金をもらいすぎたからその分安くするよ」のような相殺値引きは値引き前の価格が現実支払価格(課税価格)となります。

買い手が自己のために行う活動費用

買い手が負担する、広告宣伝費、販売促進費、貨物の検査費用は加算しません。これが加算されるのであれば買い手は気軽に広告を出せませんよね。自分でお金を出して関税が高くなるっていうバカな話はありません。

買い手が負担する輸出国での保管費用

ここ結構テストに出ます。「輸入港到着までの運賃は加算する」と混同しがちです。買い手が負担する輸出国での保管費用のうち、買い手に引き渡された後に発生する保管料は加算されません。例を上げると、売り手の工場で完成品を買い手が受け取る(EXW)契約だとします。その場合、その先の保管料や運賃は普通は仕入書価格には入っていないはずですよね。買い手の都合で輸出国の倉庫を借りて保管する費用は買い手の都合で保管したいだけなので物の価格が上がってしまうのはおかしい話です。なので算入されません。ただし、運賃等加算費用として定められれているものは加算されます。でなきゃ課税価格を安くするためにみんな売り手の工場で受け取り関税を安くしようとするでしょう。

まとめ

この範囲は、通関士試験でも通関実務や関税法の多くの問題に関連してきます。避けては通れない分野となりますので、徹底的に学習しましょう。ここで紹介したのはよく出題される一部です。

下記参考書はとても分かりやすく解説してくれています。私はこれ1冊で勉強し合格しましたよ。通関士試験会場で試験前に受験生が持っている参考書を確認しましたが約40%くらいがこの本だったように思いました。



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